僕が幸せだった頃

僕が幸せだった頃
水をはり始めた
青の田んぼに
蛙の声が聞こえていました

僕が幸せだった頃
田植えを終えた
鏡の田んぼに
緑の山が映っていました

小さな稲が並んでいました
初夏の風がそよいでいました
あまりに稲が小さいので
水面の景色が鮮やかでした

稲はすくすく伸びました
毎日毎日伸びました
気がつくと田んぼは
すっかり緑色になっていました

やがて雲が来て
雨が降り続きました
緑がいっそう濃くなって
風がいっそう強くなり
いつの間にか
夏になりました

僕が幸せだった頃の
毎日見た景色です
いまでも風が吹くたびに
そんなことを思い出しては
懐かしくて悲しくなるのです

僕が幸せだったこと
そんなこともあったと思えるのです


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