「カウントダウン」zero

夏の終わりの雨だった
いろいろなことが現実に戻っていくようだった

思った以上に苦しくて
思った以上に寂しくて
思った以上に無気力になって
何もする気が起きなかった
もう何もしたくないと思った

面倒くさい
どうでもいい
何もかも嫌になった
すべてが億劫でやるせなかった
それでも何食わぬ顔をして
普段と同じように
決して誰にも悟られず
いつものように振る舞わなければならなかった

しばらくは大人しくしておこう
このまま夏の終わりを受け入れよう
運命も占いも生命線も神様も
すべて受け入れてじっとしておこう
この流れに身を任せて流れてしまおう

支流が変わった
僕の支流と君の支流はあの日を境に別々になった
もう君と出会うはずがない
今からもう一度上流に向かって泳いで
君の支流に入って君をつかまえる

そんな気力もない
そんなことをしても
君のためになるなんてどうしても思えない
あの日からメールも途絶えた

君はどうしているだろうか



とにかく部屋を片付けよう
退出の日は刻々と迫っている
荷物もまだ置いたままだ
午後から休みをとって
重い気分で部屋に向かった

昼食は要らない
食べたくない
川沿いの近道に入った
赤とんぼが飛んでいた
夏の終わりだ
また君とのことを考えた


午後1時
僕の部屋の駐車スペースに車が停まっている
また違法駐車か
停める場所がない
まてよ・・・
見慣れた車
君の車・・・

なぜ?
どうして?
どうしたらいい?
このまま帰ろうか?
頭の中でいろんなことを考えた
それでも僕は隣の駐車スペースに車を停めた
それから203号室に急いで
それから鍵を開けて中に入った
何も考えられなかった
ただ君がいるという事実があって
君に会いたいと思った

君がいた
驚いている君がいた
僕も驚いて戸惑っている
それでも
それでも黙って
それでも君を抱きしめた
それから
「もう放さない」
と言った
「うん」
と君が応えた

何も考えられなかった
僕はやっぱりこの人が好きだと思った
どういうことがよくわからなかったし
事の善悪なんかどうでもいいと思った
いろんな事を考えて
考えて考えすぎて
最悪の判断をした自分が間違っていた
きれい事なんかどうでもいい
社会の決まりや倫理観なんてくそくらえだ
僕はこの人が大好きで
僕はこの人と別れたくない
僕はこの人とずっと一緒にいようと決めた

君を壊れるほどぎゅっと抱きしめた
何度も何度も抱きしめた
言葉は要らなかった
言葉なんか掛けられなかった

今年も一緒に夏を見送ろう
ただそれだけで嬉しかった









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